「絆」の大切さを叫ぶだけでは、本当の「絆」は生まれない。

現代社会に潜む孤独の広まりに、文芸評論家、亀井勝一郎氏の言葉が心に染みる。

「人間のあいだにあって無関心でおかれるほど孤独なことはあるまい。恐るべき空間-これを感じたときの孤独はおそらく地獄だ」

その地獄の光景が時折、一見平穏そうな社会を驚かす。人知れず命が消え、命が消えたことを長く知られずにいる人がいる。それを人は孤独死とも孤立死とも呼ぶ。「無縁社会」という言葉を生んだ現代社会の地獄を見る思いだ。

大震災後に多くの人が口にした「絆」。ことさら強調するのは大震災をきっかけに、これまでの日常の中で感じていた希薄な人間関係がさらけ出され、多くの人々が自省を迫られたこともあったのではないか?

災害への備えを考えても日頃からの隣人とのつながりを大切にしたいと思うが、急に関係を深められるわけではない。まずはあいさつからと思ってもお年寄りは家に閉じこもり、人の姿が少なくなった地方の街では人と会う機会さえ少ない。

「絆」の大切さを叫ぶだけで「絆」は生まれない。家族や友人と同じように隣人と絆を深めるには、まずは町内会など身近な組織を見直すことから始めたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>