なぜ、田舎で起業するのか?

 【 アイデアは「場」が生み出す 】

「新しい開発スタイルを模索していた」と三三の寺田親弘社長が語るように、米シリコンバレーのエンジニアは場所に縛られないフレキシブルな働き方をしている。それが自由な発想やイノベーションにつながっていると言っても過言ではない。

三三の企業理念の1つは「顧客の働き方に革新を起こすこと」。その理念を体現し、新しい働き方を模索するために、自然豊かな神山町での「神山ラボ」の開設を決めたわけだ。その決断には、ひと月3万円前後の家賃と、神山町の全戸に光回線が整備されていたことも大きい。

もう1つは、グリーンバレーの存在だ。都会の人間が移り住む際に、地元住民との軋轢が生じることは少なくない。だが、グリーンバレーが地域社会との橋渡しをするうえに、空き家の斡旋や不在時の鍵の管理なども手厚い。

グリーンバレーが作り出す「場」に共感し、盛り上げたいと考える企業も少なくない。

神山町では様々な背景を持つ人々が集まりつつある。2008年以降、神山町にはパン屋やウェブ技術者、映像作家など約70人が移り住んだ。

実は、グリーンバレーは移住希望者を先着順で受け入れるのではなく、神山町が必要とする人材を逆指名するという手法を取っている。それも、重視するのは手に職があるかどうか。少子化と高齢化に直面する神山町に必要なのは若者と子供だが、町内に雇用の場は限られているためだ。

「人が来れば、アイデアや考えが必ず残る」と大南信也理事長が語るように、グリーンバレーは技能を持つ移住者と地域住民、都会で働く技術者が交流することで、新しい事業やサービスを生み出そうとしている。「その流れの中に飛び込みたいと思った」とローカルアクションの平松玲社長は言う。

イベントのように、モノを中心としたシステムは飽きがくるかもしれないが、人を適度に循環させておけば、継続的に新しい何かが生み出せる。神山町で相次ぐ起業ラッシュは、過疎化に苦しむ地域社会に1つのヒントを与えている。

 

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